夫をガンで亡くし、いろいろな本を読み漁りました。
闘病中から、看護や介護の本を読んでいましたが、亡くなった後にシェリル・サンドバークとアダム・グラントの二人により執筆された「OPTION B」を読みました。
流行りのものが好きで、全米で大ベストセラーと聞くと興味津々。
早速取り寄せて読んでみました。
著者であるフェイスブックCOO(最高執行責任者)のシェリル・サンドバークは、突然夫を亡くし、絶望の底で生きることを模索していました。
友人のアダム・グラント(心理学者)の助言を得て、レジリエンス(回復する力)を学びます。
坂口幸弘さんの「喪失学」という本の中にも、レジリエンスという言葉が紹介されています。
「OPTION B」はアメリカの「喪失学」だと思いました。
全米大ベストセラーの本・OPTION Bとは
シェリル・サンドバークとアダム・グラントの二人により執筆された「OPTION B」は全米大ベストセラーだそうです。
人生の喪失や困難への向き合い方、逆境の乗り越え方が説かれています。
「バラ色」だけの人生はありえない、人生を打ち砕く経験から回復するための、具体的なステップがあるということを、シェリル・サンドバークは心理学者の友人であるアダム・グラントに教わりました。
フェイスブックCOO(最高執行責任者)であるシェリル・サンドバークは、休暇先で最愛の夫を突然失います。
レジリエンスは、自分で鍛えることができる力なのだと、シェリル・サンドバークに教えました。
失恋、挫折、人間関係のこじれ、仕事の失敗、突然の病、そして愛する人の死。
だれであれ、「バラ色」だけの人生はありえません。
この本は、人間精神に携わった、頑張りぬく力についての本である。
その時に考えるべきは「次にどうするか」である。
レジリエンスとは、逆境が襲い掛かってきたときにどれだけ力強く、すばやく立ち直れるかを決める力であり、自分で鍛えることができる。
それはめげない、へこたれないと言った、精神論ではない。
精神を支える力を育むことなのだ。
闇はいつか必ず明けるが、自分でもその後押しをしなくてはならない。
人生最悪の衝撃的な悲劇に見舞われようと、その影響を多少でも自力でコントロールすることはできるのだと。
- 自分自身を助け、まわりの人を助けるための方法について
- 回復における心の働きについて
- 自信と喜びを取り戻すために乗り越えなくてはならない壁について
- 悲劇について話す方法
- 苦しむ友人をなぐさめる方法
- 回復力(レジリエンス)のある社会や、組織の作り方
- 折れない心を持った子どもに育てる方法
- 再び、人を愛する方法について
シェリルが夫を亡くしたわずか数週間後に、父と子の催しがありました。
夫(父)の代わりを誰かにお願いするという計画をたてた時、シェリルが友人につい「夫にいてほしかった」と弱音を吐いてしまいました。
その時、友人は「オプションAはもう無理なんだ。ならば、オプションBをとことん、使い倒そうじゃないか。」と励ましてくれました。
完璧な人生なんてありえない。だからみんな、何らかのかたちの「オプションB」を選ばざるを得ないのです。
(この本は、だれもがオプションBをとことん使い倒せるようにするための本です。)
★「3つのP」が苦難からの立ち直りを妨げる。(マーティン・セリグマン)
マーティン・セリグマンのいう、「3つのP」とは?
普遍化・・・(Pervasiveness パヴェイシブネス) ある出来事が人生のすべての側面に影響すると思うこと
永続化・・・(Permanence パーマネンス) ある出来事の余波がいつまでも続くと思うこと
簡単に言うと
「このサイテーな出来事は自分のせいだ。何もかもがサイテーだ。この先ずっとサイテーだ。」
● ネガティブな出来事を自責化、普遍化、永続化しない人はうつになりにくい。
● 「最悪を受け入れなさい。」つらくて当たり前なのだ。
● たとえ人生の濁流にのみ込まれても、水底を蹴って水面に顔を出し、もう一度息をつくことはできる。
★誰もが見て見ぬふりをしている問題
これがあの「尋ねない友人」なのねと思ったものである。
かくいう自分も、つらい会話を避ける友人だったことに気づいた。
とてつもない苦しみを味わった人でさえ、その体験を語りたがることが多い。
つらい話題を避けることが、相手の気持ちを慮ることになるとは限らない。
しかし、家族以外にも、話やすいように気を配ってくれる人がいた。
心理学者はそういう人たちは「オープナー」と呼ぶ。
オープナーはたくさん質問をし、評価や判断を加えることなく、返答にただ耳を傾ける。
そして、相手を理解し、気持ちを通じ合わせることに喜びを覚える。
オープナーは苦境に置かれた人、特に普段控えめな人にとって、大きな救いになる。
オープナーは、親しい友人とは限らない。辛い思いを経験した人は、苦しんでいる人に思いやりを示しやすいのである。
何と声をかければいいのだろう?
一番良いのは相手の気持ちを理解し、そのまま受け止めることである。「おつらいですね、いつもそばにいますよ。」と、文字通り言うのだ。
★友情のプラチナルールを実践する方法
つらい目に遭っている友人を支えるは当たり前、と思うかもしれないが、心理的な壁が邪魔をして、手を差し伸べられないことがある。
他人の痛みに接したときに私たちが持つ感情には、2種類ある。
「共感」を感じれば、相手に手を差し伸べようとするし、「苦悩」を感じれば、相手を避けようとする。
苦しむ友人に背を向ける人は、感情的苦痛から距離を置くことで、自分を守ろうとしている。
悲しみにおぼれる人を見て、自分まで引きずり込まれるのを無意識のうちに恐れるのだ。
無力感に打ちひしがれる人もいる。
ただ、友人に顔を見せるだけで、大きな力になれるのだ。
「自分が扱ってほしいように他人を扱いなさい」
「他人が扱ってほしいように他人を扱いなさい。」
苦しんでいる人が発するサインを読み取り、思いやりと、できれば行動をもって応じよう。
友人は「役に立てることがあったら、なんでもいって。」と声をかけてくれた。
しかし、「なんでも」という部分に問題がある。
「なんでもする」と言っている暇があったら、なんでもいいからとっとと行動に起こそう。
「一緒に、乗り越えよう」
「君はひとりじゃない」
悲嘆のプロセスがどのように進行するかは、だれにもわからない。
悲嘆の5段階とは?
エリザベス・キュープラー・ロス博士(精神科医)
「否認」→「怒り」→「取引」→「抑うつ」→「受容」
★自分への思いやりと自信
自己への思いやりは「人間である以上、落ち度があるのはあたりまえ」という認識からはじまる。
自己へ思いやりを持てる人は、苦境から早く立ち直ることができる。
自己への思いやりを持つからといって、過去の言動の責任逃れをすることにはならない。
考えたことを思いつくままひたすら書き出すこと。
書くことは自己への思いやりを身につけるための強力なツールになる。
自分の気持ちを言葉で表すことで、心の内を吐き出すことができる。
「今日上手くできたことを3つ書く」
「役に立てたことを数える」
感謝できることを数えても自信ややる気は高まらないが「役に立てたこと」を数えることとその効果がある。
感謝は受け身で、人の役に立つのは自発的な行動だから。
自分が誰かの力になれたことを思い返すと、自身が高まる。
完璧を目指さなくていい。いつもいつも自分を信じなくていい。今は少し、次はもう少し貢献できると信じればそれでいい。
私たちはみんな、だれもが土に還る。だからこそ、一日いちにち大切に生きなくてはいけない。
自分にあと何日残されているかはわからないけど、また新しい人生を生き始めたい。
★逆境をバネに成長する
もはや自分の力で状況を変えることができないとき、私たちは自分自身が変わることを求められる。(ヴィクトール・フランクル 精神科医でホロコーストの生存者)
① PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する人たち
② レジリエントな(回復力のある)人たち
③ 苦しみをバネに成長する人たち
トラウマ後の成長 5つの形態
① 「人間としての強さを自覚する」
② 「感謝を深める」
③ 「他者との関係を深める」
④ 「人生により多くの意味を見出す」
⑤ 「新たな可能性を見出す」
「人間としての強さを自覚する」
「私は自分で思っていたより傷つきやすいが、想像を超えるほど強い(カルフーン)」
「感謝を深める」
1年たつごとに、失われてしまったものを嘆き悲しむ気持ちが少しずつ薄れ、かつてあったものに感謝する気持ちへと、バランスが変わってきた(スティーブン・レビット)
「他者との関係を深める」
悲劇をきっかけにして、新しい関係を結んだり、前からの関係を深めることもある。
悲劇を共に耐え抜いた人たちや、同じ悲劇を耐え忍んだ人たちは、固い絆で結ばれることがある。
「順風満帆のとき、自分の真の姿がさらけ出される。逆境のとき、友の真の姿がさらけ出される。」
「人生により多くの意味を見出す」
「苦しみの中に意味を見出した瞬間、それは苦しみでなくなる(ヴィクトール・フランクル)」
家族や宗教に意味を求める人は多いが、仕事に目的を見出す人もいる。
自分の仕事が誰かを助けているという意識が強い人ほど、仕事での感情の消耗を感じることが少なくて、日常生活での落ち込みも少ないという。
「新たな可能性を見出す」
「しあわせの扉が一つ閉まると、別の扉が開く。でも、閉じた扉をいつまでも未練がましく見ていると、自分に開かれた別の扉に気がつかないことも多いのだ(ヘレン・ケラー)」
苦難を味わった人は、同じような経験をしている人の役に立つ知識を持っている。
自分が傷ついたことが無駄にならないよう、同じ苦しみを味わっている人を助けるのだ。
★喜びを取り戻す
生き残ったことへの罪悪感は、喜び泥棒であり、死という喪失から生まれるもう一つの喪失である。
自分のしあわせを願うことは、罪悪感を押しのけて、喜びを求めてもいいのだと心得ること。
毎日、喜びの瞬間を3つ書く
人は歳を取るにつれて、どれほどわくわくできるかではなく、どれほど安らかか気持ちになれるかという観点から、幸せをとらえるようになる。
喜びを感じる権利は誰にでもある。喜びがあるからこそ、私たちは生きていき、誰かを愛し、寄り添うことができるのだ。
喜びを見つける瞬間には痛みを忘れていられる。そして喜びの瞬間を重ねるうちに、ただしあわせになるだけではないとわかる。私たちは喜びを通して、力も手に入れるのである。
★「レジリエント」な子どもを育てる
レジリエンスとは、逆境が襲い掛かってきたときにどれだけ力強く、すばやく立ち直れるかを決める力である。
子どもたちはいつか必ず逆境に直面する。だから、大小さまざまな障害を乗り越える力を持ったレジリエントな子どもを育てたい。
トラウマを経験した子どもにとって、レジリエンスを育む信念はよりいっそう重要である。
① 自分の人生は自分である程度コントロールできる。
② 失敗から学ぶことができる。(困難こそが成長のチャンス)
③ 自分は一人の人間として大切な存在である。(自己価値の認識)
④ 自分のために役立て、他人と分かち合うことができる強みが自分にはある。
「我が家のルール」(シェリル・サンドバーク家)
悲しいとき/休憩をとる
うらやましがってもいい
怒ってもいい
楽しくしてもいい
笑ってもいい
助けを求めてもいい
自分を責めない
こんな目にあうのは自分のせいじゃない
今は話したくない
せーのでゴメン(dabble sorry)
まねっこ(mirrowing)
自分を許す
人を許す
助けを求める
決まった時間に寝る
ベッドで休む
瞑想をする
朝7時まではiPad禁止
眠れなくても焦らない
助けを求める
チームに「ぼくだけ」「わたしだけ」はない
一緒に乗り越えよう
助けを求める
何を聞いてもいい
何を言ってもいい
★一緒に強くなる
レジリエンスは個人の中だけで育まれるのではない。
地域で、学校で、町で、政府で、育むことができる。
子どもたちとシェリル・サンドバーグは、配偶者や親を亡くした人たちとの交流から、大いに必要としていた慰めを得ることができた。
★仕事での失敗と学び
人生で一番後悔していることを書いてください
(WRITE YOUR BIGGEST REGRET)
愛していると言わなかった
ドラッグに手を出した
連絡を取り合わなかった
退路を断った
良い友人でいられなかった
芸術への情熱に従わなかった
心を打ち明けなかった
大学に行かなかった
演技を追及しなかった
もっとハグしなかった
やりたいことをやらなかった
常に自分らしくいられなかった
全財産を使ってしまった
直感を信じなかった
父に孫の顔を見せてあげられなかった
学校を中退した
親友と寝た
モンタナ州に行かなかった
失敗を「学習のチャンス」をみなす組織文化を育むことの大切さ。
誰にでも盲点はある。盲点とは、自分は気がついていないが、他人には見えている弱みである。
「人間の評価は、思い通りにいかないときにどう動くかで決まります。」
フィードバックを聞き入れる能力は、レジリエンスの証である。
「いつも自分やみんなに言い聞かせている。『誰かが死ぬわけじゃないだろう?』と。最悪なのは死だ。失敗なんて怖くない。」
「You’ve Got This」(あなたならできる)
★もう一度、愛し笑う
「ただ生きていくだけじゃない。いつの日か再婚するのよ。私も祝福に駆けつけるわね。」
「ここは君だけの寝室だろう。デーブ(夫)の写真はもういらない。吹っ切って前に進むんだ。」
「ベッドではひとりだった。子どもたちが遊びに出かけると、家で一人になった。誰もいない家で1時間も過ごしていると、将来二人が私を置いて大学へ行ってしまう時のことを想像した。この先一生一人で生きていくのだろうか?」
配偶者を亡くした人は、それだけで十分すぎるほどの悲しみと罪悪感を抱いている。
デートすることを裏切りと考えず、悲しみを乗り越えて喜びを見つけようとする試みだと思ってほしい。
恋愛が、悲嘆においてタブー視される問題であるように、笑いも物議を醸しがちな問題である。
ユーモアには、レジリエンスを高める効果もある。
笑うことによって、ストレスに満ちた状況をそれほど脅威に感じなくなるから、緊張が和らぐのだ。
「死で命が断たれても、絆は絶たれない。」
人生の浮き沈みに耐える愛情の育み方を探すことである。
人生が思い通りにならないときに、自分なりの愛し方を見つけることである。
無常に愛が奪われたとき、希望を見つけ、愛と笑いを取り戻すことである。
そして、愛する人が亡くなったあと、なおも愛し続ける方法を見つけることである。
まとめ
以前に紹介した坂口幸弘さんの「喪失学」という本の中にも、レジリエンスという言葉が紹介されています。
「OPTION B」は、日本語で書かれた「喪失学」と同じ系統の本でした。
ただ、私は日本語で書かれている「喪失学」の方が理解しやすかったです。
英語圏の人で、さらに著者はユダヤ教です。
慣れ親しんでいる、仏教の方が理解しやすいのかも。
自分が立ち直るだけではなく、同じ立場に立った人に手を差し伸べるという精神は共感できました。
そのための、考え方や手の差し伸べ方まで書いてありましたから。